ケミカルピーリングとは、化学物質を皮膚に塗布して古い角質層を剥がすことで、肌の新陳代謝を促進し、美肌効果を得る美容治療法です。ケミカルピーリングには様々な種類がありますが、ここではピーリングの歴史とマッサージピールという最新のピーリング法について紹介します。
ピーリングの歴史
ピーリングは古代エジプトから始まったと言われています。クレオパトラはサワーミルクに含まれる乳酸で肌を美しく保っていたと伝えられています。中世フランスではルイ14世が古いワインに含まれる酒石酸で肌をケアしていたという説もあります。
医学的には1882年にドイツの皮膚科医がサリチル酸やフェノールなどを使って初めてピーリングを行いました。1903年にはイギリスの皮膚科医がニキビ瘢痕にフェノールを使って効果を得ました。第一次世界大戦中には火薬によるやけど治療にフェノールが使われ、皮膚再生を早めることができました。1960年には形成外科でフェノール酸によるピーリングが若返り治療として確立されました。
しかし、フェノール酸は浸透力が強く、副作用やリスクも高かったため、日本ではあまり普及しませんでした。1974年にはグリコール酸などのアルファヒドロキシ酸(AHA)を使った浅層のピーリングが開発され、安全性や美白効果が高いことから日本でも注目されるようになりました。1994年にはAHAピーリングの輸入許可が下り、2001年には日本皮膚科学会からケミカルピーリングガイドラインが公表されました。
ピーリングの目的
英語のpeel(＝剥す)の通り、肌トラブルの元となる古い角質やくすみを取り除き、肌本来の機能をサポートするピーリングは、年齢を重ねた方の肌トラブルにも対応するエイジングケアを目的とした美容治療法です。
ケミカルピーリングの効果
- 表皮（皮膚の浅い層）の細胞活性化
- 表皮の代謝促進・正常化
- 色素抑制
- 真皮（皮膚の深い層）でコラーゲン生成
- 角質除去・皮脂分泌抑制
- 保湿効果
- 皮膚のバリア機能が一時的に弱まるので、基礎化粧品などの有効成分の浸透が高まる
など、しみ・くすみ・小じわ・はり・ニキビ・脂性肌・毛穴など幅広い症状の改善が期待できます。
マッサージピール
マッサージピールは、最新のピーリング法の一つで、33%のトリクロロ酢酸(TCA)と低濃度の過酸化水素を混合した特殊な薬剤【PRX-T33】を使用します。TCAは強力なディープピーリング剤ですが、過酸化水素と組み合わせることで剥離作用を抑え、真皮層まで浸透させてコラーゲン生成を促進します。
これにより、肌の奥深くのハリ感や弾力感を高めることができます。また、コウジ酸も5%配合されているため、色素沈着やしみの改善効果もあります。マッサージピールはお肌を優しくマッサージしながら薬剤を塗布していきます。拭き取った直後からお肌のなめらかさやハリ感を実感できます。ダウンタイムやリスクもほとんどなく、ピーリングの概念を覆す画期的な新治療です。